昏
如何仕様も無く昏い氣持ちが塒を巻いている。僕を蝕む精神疾患ばかりのせいではない。疑いが晴れない。この世界は僕ばかりを悪者にしようとしているのだ。そうに違いない。
まるで図ったように倒れた母と共に暮らして一年が経つが、まるで以前の彼女とは別人である。
中身がそっくりそのままちがうひとに入れ替わった譯ではない。
ところどころに面影を感じる。
しかし壊れている。
生きている意味があるのだろうか。
彼女に生きている意味が在るのだろうか。
やろうと思えば簡単だ。
決行するのならば金曜日の夕方が良いだろう。
露見までに時がある。
首を締めてころそう。
そのあと僕はひとりで遠くへ行こう。
遠くへ。
遠くへ。
いつか少女の頃に憧れた遠くへ行くのだ。
遠くへ行くのだ。
誰も僕を知らないところで丸くなって死ぬ。